恩田陸オタクが熱烈にオススメする"恩田陸の世界 - 入門本3選"
はじめに
中学のころたまたま選んだ「光の帝国」という本を読んでから、私は恩田陸先生の熱烈なオタクです。
自分の本棚は、ほぼほぼ恩田陸の本で埋まっています。ちなみに「光の帝国」は事あるごとに読み返すので、3冊持ってますし読んだ回数はおそらく200回以上です。
以前こんな記事を書きました。この時は映画化もされ直木賞・本屋大賞にも輝いた「蜜蜂と遠雷」が発売された当時で、それを軸に恩田先生の魅力について語りました。
しかし、それ以上に恩田陸の作品の世界をもっと語りたい!!!!!と思いまして、今回は私が今まで読んだ本の中でとびっきりオススメな本達を紹介したいと思います。
ただのオタクゆえ、考えるだけでいっぱいオススメが出てきてしまうので、今回は以下のような方に向けて紹介します。
・恩田陸は知っているがあまり読んだことはない
・恩田陸は知ってるが1冊も読んだ事がない
・恩田陸ってなにそれ?美味しいの?
つまりは、恩田陸の世界 入門編です。
一冊も読んだことがない方、ぜひこれを機会に読んでみていただけると嬉しいです。
恩田陸の小説 入門編 3選
青春の一瞬のきらめきと美しさ 「夜のピクニック」
恩田陸さんが初めて「本屋大賞」を受賞した作品です。2005年発売で、本屋大賞的には第2回と初期の作品になります。ちなみに、本屋大賞はいわば「本が大好き、本のプロである書店員さん」が選んだ年間でもっとも売れて欲しいと思った作品です。
恩田陸さんの本の中でもかなり読みやすく、爽やかな青春群像劇なので入門にはとってもオススメです。内容としては、高校生活最後のイベント、夜に学生たちが80キロ歩く「歩行祭」というイベントの中で、主人公たちが高校生活で言えなかった秘密や想いを吐露し、夜道を歩く中で仲間と語らいながら成長をしていくストーリです。
オススメポイントとしては、やはり恩田さんの十八番である「高校生たちの物語」。恩田さんは「高校生」を主人公にして物語を作ることがとても多く、なおかつそういう本にハズレがほぼないです!ちなみに、中学生や大学生ではなく、圧倒的に「高校生」が多いのが恩田さんの特徴。
思春期だからこその瑞々しい苦悩や葛藤、そして美しい青春のきらめきを文章で切り取るのが、恩田さんはとてつもなくお上手です。この本を読んでいると、本当に歩行祭というイベントに参加したくなるんですよね。夜の間、ずっと80キロ歩き続ける。そう考えるととても苦しいイベントには違いないのですが、物語の中で語られているように、自分が3年間一緒にいた友人たちと夜の間、語らい続けられるという貴重な体験。私が高校生だったら絶対に経験したかったです。
私は高校時代にこの本を読んだのですが、学生であれば誰しもがこの本の中のキャラクターに自分を重ねるだろうし、今社会人となって読んでみると、高校時代の淡い思い出が呼び起こされ、少しむず痒くかつノスタルジーを感じる作品となっています。
ただ歩く、それだけなのにキャラクターたちが繰り広げる会話に、胸を打たれること間違いなし。ぜひ「歩行祭」の世界へ没入してください。
短編でもあり、一連の物語でもある身近なファンタジー 「光の帝国」
私が、恩田陸という人に出会った作品でもあり、今でも最も大好きな作品である「光の帝国 常野物語」。本当に全国民に配り歩きたいぐらい大好きで、そしてどんな人にもオススメできる素敵なお話です。
この本は、少し不思議な力を持つ一族「常野一族」が日々を紡いていく短編で構成されています。各短編は主人公が異なるのですが、どのキャラクターも人とは違う特別な能力を持っています。
不思議な能力というと、ついファンタジー小説のような連想をされると思うのですが、物語はより身近な生活描写に注力しており、大きな出来事はおきません。あくまで常野一族は「その能力は人に見せないよう隠して」生活をしています。
個人的に一番のオススメポイントは、「短編だけど、繋がった物語であるところ」
細かいところは読んでからのお楽しみですが、一つ一つの物語は実は小さなピースで繋がっています。例えば、はじめの短編に出てきた主人公が、ある短編の会話の中で出てきたり、実は最後の短編の主人公は、あの短編のキャラクターが祖先だったり、、、細かい部分で少しずつ重なりあっているところを探すのがとっても楽しい作品です。なので何度でも読める!
もちろん短編としてのクオリティも最高!私は一番最後の短編「国道をおりて」を擦り切れるほど読んでいて、学生のころは何度もその言葉たちに励まされました。どの短編もすっごく面白いのでオススメ。
またこの作品は、「常野物語シリーズ」の第1作目になります。この短編の中で出てきた人物や世界観がおりなす別の世界も、他作品で楽しめるので「入門」にぴったり!
参考までに、常野物語シリーズの他の2作品を置いておきます。
天才と天才が舞台で響きあう 舞台小説の傑作「チョコレートコスモス」
恩田陸さんといえば、舞台小説!と言っていいほど、他の作者さんに比べ「舞台」をテーマにしていたり、舞台に由来した小説が多い作家さんです。 恩田さん自身も、舞台がお好きと話しているので、舞台に対する情熱・知識はオタクもの。
そんな恩田さんが、真っ向から舞台というテーマに挑んだのが「チョコレートコスモス」。以前私のブログでも語りましたが、「蜜蜂と遠雷」が音楽ものの最高峰としたら、その対をなすのは舞台ものの最高峰「チョコレートコスモス」です。
あらすじは、大学生になり初めて舞台で演技を始めるも驚異的な才能を見せ、自身も知らぬ間にプロの世界へと足を踏み入れていく、地味な女子大学生飛鳥。そして幼いころから舞台に立ち、舞台の世界で生き、才能と華麗な経歴を持つ華やかな女優響子。
生い立ち、性格、見た目、全てが正反対の天才二人が「舞台」に導かれ、そして惹かれあっていく様を丁寧に描いています。
オススメポイントは「演技の天才が味わう、舞台での快感描写が美しい!」
舞台を描くのが本当にお上手な恩田さん。舞台のシーンを丁寧に描くだけでなく、舞台にいる主人公たちが「どういう風に演じ、そしてその瞬間どう思った・感じたか」を丁寧に描いています。
とくに飛鳥と響子が初めて共演するシーン。天才の二人しか見ることができない「舞台での世界」について、美しい言葉で語っています。ここは本当に必読!舞台についてそこまで詳しくない私でも引き込まれ、天才達の思考を垣間見るような感覚になります。
実はこの作品、3部作のうちの1番最初の作品となっています。続編である「ダンデライオン」は以前連載がされていたのですが、その雑誌が休刊となり、宙に浮いた状態になっているようです。
しかしながら恩田さん自身、ストーリー自体はあらかた描き切っているよう。いつ出るかはわかりませんが、個人的には出た時に乗り遅れないためにも、絶対に読んで欲しい名作です!
まとめ
恩田さんの作品のうち3つの作品を紹介しました。本当はもっと紹介したい本がわんさかあるんですが・・・それはまた次回とさせていただきます。
改めて3作品紹介します。
▷「夜のピクニック」
こんな人にオススメ
・学生の青春ものが好き
・胸が熱くなるような、感動する小説が読みたい
・1日で読み切れる有名作品が読みたい
▷「光の帝国 常野物語」
こんな人にオススメ
・少し不思議なファンタジーが読みたい
・短編でサクッと読み切れる作品が読みたい
・何度読んでも楽しめる作品がいい!
▷「チョコレートコスモス」
こんな人にオススメ
・世界観に没入して楽しめる作品が読みたい
・一日以上かけてがっつり読める長編がいい!
・「蜜蜂と遠雷」を読んだけど、違う恩田陸作品が読みたい!
この機会にぜひ楽しんでみてください!
:追伸
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