Night Walk

イギリス留学とSEとキャリア理論と

恩田陸の最高峰傑作「蜜蜂と遠雷」について

 

絶対に書こうと思っていた。恩田陸「蜜蜂と遠雷」

私は、この本を恩田陸の最高傑作と断言できる。

私は恩田陸という作家が本当に大好きで、私の人生に多大なる影響を与えた人物の一人と断言できる。出会いは中学2年生の頃、夏休みに配られるおすすめの小説の一覧にたまたまあった「光の帝国」を買ってから、私はこの本を何度となく何度となく読んでいる。すでに100回は優に超えている。私の大きな芯を作ってくれた大切な作品だ。それから、恩田さんの作品を買い漁る日々が続いた。「六番目の小夜子」「図書館の海」「球形の季節」「チョコレートコスモス」「中庭の出来事」「麦の海に沈む果実」....私の本棚はほぼ恩田陸さんで埋まっている。それぐらい彼女の書く世界観、ノスタルジー、人物がとてつもなく大好きだ。だから書きたい、この本について。

 

「蜜蜂と遠雷」

恩田陸さんが、完成までに12年を費やしたという長編作品、蜜蜂と遠雷。舞台は日本のある都市で行われる国際ピアノコンクール。そこに集う、ピアノ奏者たちを描いています。以下はあらすじ

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

 

「恩田陸×音楽」

私が、いつか絶対に見てみたいと思っていたコラボがついにここに来てきたか、と最初に手を取った時に思いました。ものすごい分厚い本で、重厚感があるのに、買ってからたった半日で読んでしまうほどのめり込めるストーリー。

こういう音楽ものって多数作品としてあって、一番有名なのは「のだめカンタービレ」とか「ピアノの森」とか。私も10数年音楽やっていて(ホルン吹いてます)こういう「音楽もの」に直面したときに、どうしてもリアリティとか、細部までこだわっているかとか見てしまう。そういう所が荒いと、いや実際は違うのになぁと萎えてしまう。でも、この作品に関しては、勿論細部まで丁寧に描かれているし、使われている楽曲も、コンクールの臨場感もものすごいんだけど、そんなところ見る余裕なんかなくてそれ程にストーリーに魅了されていました。

 

ピアノコンクールに出る主役たちは、主に4人。

著名な音楽家が残していった天才という名の爆弾、風間塵

一度はスターダームに躍り出たものの、ある日突然表舞台から消えた悲劇のヒロイン栄伝亜夜

普通のサラリーマンとして生活する傍ら、最後のコンクールに挑む高島明石

圧倒的才能とスター性を欲しいままにする理論派の青年マサル

この4人以外にも周囲の人間模様がきめやかに描かれています。

 

4者4様の性格、ピアノコンクールへの想い。でもどれも一つ一つがとても愛おしくて瑞々しい。

特に私が共感したのは、普通のサラリーマンからコンクール入賞を目指す高島明石。もうね、このキャラに私は泣きっぱなしだった。彼の台詞は「才能を持たない私たち」の台詞だった。「音楽は誰のものか?」「生活者の音楽は、音楽だけを生業とする者よりも劣るのだろうか」。天才たちだけではなく、日々を暮らす者であっても、素敵な音楽を奏でられるんだと、彼は証明するためにこのコンクールに挑む。

明石のような私たちの目線に経ったキャラがいることで、より物語に深みが増して、のめり込んでいけました。私はこの作品を読みながら、いつのまにか明石をめいっぱい応援していた。読んでみたらそういうキャラに出会える、それがこの作品の魅力の一つかと思います。

 

そして、もういろんな所で話されているかと思いますが、この作品のもう一つの魅力、「音楽を文章で鮮やかに描くこと」

これがもう物凄いんです。

音楽の知識がなくても全然楽しめると思う。恩田さんが、その音楽を言葉に乗せて奏でてくれているから。曲自身の魅力も伝わってくるし、何より個々のキャラクターの性格が見事に反映されていて、読んでいて本当にそのキャラクターがピアノを奏でているように脳内で音が流れ出してくるからすごい。同じ曲でも、弾く人の個性が反映されて全く異なる曲になるというのはクラシックでは当たり前にあることですが、それを見事に文章だけで表現しているんですよね。

ほんと、これは圧倒的な才能だと思う、恩田さんの。

 

私恩田さんのことを「劇場型作家」ってよく表現しているのですが、恩田さんって舞台を描くのに長けていると思っていて、それは「チョコレートコスモス」だったり、「中庭の出来事」だったり「六番目の小夜子」の文化祭のシーンだったり。

舞台の持つ静と動の描写が本当にうまい。

静のときは舞台のピンと張り詰めた空気が読んでいるだけで透けて見えてくるし、動のときは疾走感がすごくあってかつ舞台のドラマティック性を的確に表現してくれるから、読んでいてものすごく楽しい。この才能がこの本でも遺憾なく発揮されていて、音楽コンクール特有の張り詰めた雰囲気と、勝者と敗者が生まれるドラマティック性が文章だけでもひしひしと伝わってくるんですよね。

普通は、こういうコンクールとか賞を題材にする小説って結果が分かってしまいそうになるんだけど、最後の最後まで結果が分からないハラハラドキドキ感を味わえるのもいいなと思います。それはどのキャラも本当に丁寧に描かれているから、どのキャラにも感情移入して、頑張れ!ってもっともっと彼・彼女の音楽を聴きたい!って思ってしまうからだろうなぁと思う。

とにかく、読んでほしい。音楽の美しさ、コンクールのハラハラ感、音楽や人を通じた各人の成長を恩田さんが全身全霊を込めて書いています。できれば単行本で、ずっしりとした重さを感じながら読んでほしい。

直木賞を受賞したことにより、多くの方に読んでいただけたらなと切実に思います。

 

 

この本を読んだ人におすすめの恩田作品

ぜひこの本面白いなぁと思って、恩田さんの作品を他にも読んでみたいな、なんて人にここからは読んでいただきたいです。おすすめの作品を3つ紹介します。

まずはやっぱり、「チョコレートコスモス」でしょう。私もだいっすきなこの作品。「蜜蜂と遠雷」が音楽の物語であれば、「チョコレートコスモス」は舞台の物語。二人の境遇も思考も全く異なる天才が、舞台で出会う。この本の魅力はなんていっても、小説の中で実在する脚本が使われていたり、お芝居に精通する恩田さんならではの「舞台の世界」の描き方。正直、蜜蜂と遠雷に肩を並べるほど面白い作品なので興味をもった人はぜひ読んでほしい。 

チョコレートコスモス (角川文庫)

チョコレートコスモス (角川文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: 文庫
 

 

そして、私が一番読み返している大切な作品「光の帝国」もおすすめ。

これは、常野一族と呼ばれる少し不思議な能力をもった人々の日常を描く短編小説なんですが、これの一番最後の作品「国道を降りて」、二人の音楽家が主人公で、里帰りして一族の音楽祭に出る道中を描いているんですが、もう本当に音楽をやっている人にとっては名言だらけの名作です。音楽つながりで紹介しましたが、勿論他の短編も面白いので、本当に読んでほしい。私のバイブル 

光の帝国 常野物語 (集英社文庫)

光の帝国 常野物語 (集英社文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2000/09/20
  • メディア: 文庫
 

 

最後にちょっと毛色の違う作品。「蛇行する川のほとり」

私の中で恩田さんは「青少年のノスタルジー」を描くのがめちゃめちゃうまいと思っていて、この作品も高校生の主人公たちのミステリーなのですが、仄暗くかつ美しく、淡い世界観で描かれています。蜜蜂と遠雷が光を描いた作品だとしたら、この作品は優しいグレーの色で描かれたような作品です。出てくる子どれも、美しくて儚くてなにか懐かしい、恩田さんの書く青少年はいいぞ。 

蛇行する川のほとり (集英社文庫)

蛇行する川のほとり (集英社文庫)

  • 作者:恩田陸
  • 発売日: 2017/04/28
  • メディア: Kindle版
 

 

 

 

 

Don Brocoについて

 

 

Don Broco

 

英国に留学していたこともあり、基本的に聞く音楽は邦楽英国バンドです。

そんなにバンドに詳しい自信もありませんし、オタクとも言える立場でもないです。基本的に音楽は大好きですが、人並みにしか聴きません。それでも、好きなバンドについて書いてみようと思います。

彼らとの出会いは、ちょっと個人的な出会いになりますが、元彼でした(笑)

英国留学してたときに付き合ってた英国人の彼とお互いにいろんな音楽をオススメしあってた時、基本的に彼はパンクとかハードコアが好きで全く趣味が合わなかったんですが、「mujicoでもこのバンドなら聴けると思う」と言われておすすめされたのが、このバンドでした。

最初はピンときてはなかったんですが、何度も聞いていくうちに私が完全にハマっていました。英国留学中にライブに行っておけばよかったと後悔しているバンド1位です。

 

Don Brocoはいいぞ

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とりあえずこの二曲を聞いてビビッときた人は続きを読んでください。

Don Brocoの魅力がこの二曲にぎゅっと詰まっていると思う。ボーカルのRobの骨太でセクシーなガツンとくる爽快感と疾走感のある曲調。嫌なことがあった時にこの二曲のコンボを聞くと、この曲の持つ強さに勝てなく嫌なことはどっかに吹っ飛ぶのでおすすめ。

 

正直日本には来日もしていないし、そこまでアジアで知名度のないバンドなのでほとんど日本語の情報って出てこないんですが、簡単なプロフィールなど、

 

Don Brocoは2008年結成、Bedford出身の4人組のバンド。

高校時代同級生だった彼らが高校時代に作ったバンドが原型。その後大学に行き一旦は、バンド活動を中止するが、卒業後再度集まりDon Brocoを結成。

アルバム「Priorities」でデビューし、現在最新アルバム「Automatic」を含めてアルバムは2枚、シングルは9枚。曲の系統はポップロック、オルタナティブロック、パンクロック、ハードコア、様々。

 

上のハードロックな感じよりも、ポップとかオルタナティブが好きな人はこちらの方がおすすめかもしれない。

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2017年度はツアーでアメリカ上陸したり調子はうなぎのぼりな感じ。本当最新アルバムAutomaticかっこいいんでおすすめ。日本にも来て欲しいなぁ。

 

曲はiTunesで買えるので是非。日本でも人気が出て、来日してくれたら嬉しいなぁ。

個人的に「Automatic」の中で気に入っている曲は以下の3つ

 

・What You Do to Me

サビでガツンとくる感じはYou wanna knowに近い感じ。静と動がかけ離れていればいるほど、このバンドの良さがでてくるのかもしれない。

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・Fire

王道ロック。サビがめちゃめちゃかっこいい。

・Wrong Place Wrong Time

ドラムのMattもコーラスとして入っているんですけど、彼の高音もなかなかいいです。サビはRobとMattが交互に歌っています。

 

追記)1/27(金)

なんと、来日決定!!!!!

ONE OK ROCKさんのライブのゲストアクトとして、初来日するようです。うわぁ〜〜いいな〜〜〜勿論チケットは取れなかったんですけども、行かれる方はぜひ楽しんできてください。そして、いつかDon Broco単独でライブしに来日して欲しいなぁ。

この発表以降ちょこちょこブログのアクセスが回っておりまして、検索で来ていただいている方もいらっしゃると思います。勿論ワンオクさんのライブですので、ゲストとしてDon Brocoがちょこっと出る形かと思いますが、ぜひ行かれる方には彼らの音楽も楽しんでいただきたいなぁと思っております。

ちなみに、「You wanna know」とワンオクさんの「Bon Voyage」が似ているという話もちょこちょこ目にします。 ワンオクお好きな方はまずはそこから行ってみたらいいのではないでしょうか?

 

【参考資料】

Interview - Don Broco - Brum Live!

ちなみに上のインタビュー結構おもしろかったのでおすすめ。インタビュアーが私と同じようなことを言っています。(笑)

「貴方たちのソングはパンチがあって心に残るんです。私が初めてあなたたちの曲を聴いた時には、よく理解できていなかったとおもうんですが、何度も何度も聞いていくうちに、病みつきになってしまっていました(hoocking me back)」

他にも4人はバンドの経歴を語っていたり、おもしろいインタビューでした。

 

・Bring the noise UKのDon Brocoのアルバム「Automatic」のレビュー

http://www.bringthenoiseuk.com/201507/music/reviews/album-review-don-broco-automatic

なかなかの好評価。

・INTERVIEW DON BROCO

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4人とも和気藹々してて楽しそうな感じ。ミュージシャンになってなかったら、Fruit Pickingしてたっていう話めっちゃ楽しそうw

自己紹介的な。

 

こんにちはmujicoと申します。こちらでは初めまして。

基本的に今まで二つのブログをやってました。

 

astro.hatenablog.com

ぶろぐです:基本的にSMAPについて語るブログ。更新頻度は年に2、3回。稲垣吾郎とSMAPについて、とにかく勢いで語るブログ。

astro317.hatenablog.com

cuori:サッカーについて。特に香川真司選手とドルトムントについて。最近は更新してないけど、昔はまぁまぁ更新してた。自分のパーソナルな話が多め。

 

以上の二つのブログやってて気づいたんですけど、文章を書くのは好きなんですけど基本的に「一つの話題をずっと書くのは無理なタイプなんだな」と気づきました。気が多いオタクなので、いろんなものを常につまみ食いしている状態なので...

基本的にちょこちょこ見てくださる方もいるので二つのブログはそのままにしておきますが、こちらのブログは、自分の好きなものを好きな時に書くブログにしたいと思っております。文章書くのは得意ではないですが、好きなのでちょこちょこかけたらいいなぁと考えております。